犬は月をめざす

もっとブワァー!ときてボーンと!

証拠、裏付け、エビデンス

相槌とは、生かさず殺さず意見を持ち込ませずするものだから、人が持ってる各々の持論に対して打ち返しやすいボールを投げていれば大体はいい音が鳴る。正解は一つではなく無数に存在するけどパターンはあって、パターンを繰り返し繰り返し、これにはこれ、あれにはあれ、というふうに、返答を当てはめていく。まるでパズルのように。ああこれは会話じゃない。パズルだ。会話ってなに。ずっとパズルしてるみたい。
思ってることを少し言っただけで毒舌と言われたので気にすることにした。損したくないけど傷つける気も毛頭ないから本音なんて言うつもり無い。的を外し過ぎてる観察も退屈だ。思考とは観察か。観察とは思考か。なんでそんなに自信満々なの。どうして。根拠は、裏付けは、エビデンスは。

人を殺す夢を見た。殺すシーンは無くて、ただ殺したあとの物体と、殺してしまった罪悪感を、夢の中で何回も反芻していて、夢から覚めたあともとても夢とは思えず、自分が人を殺していないか頭の中で確かめた。
その人に連絡を取ろうとしたけど「そうだ、私が殺したんだ」とぼんやりと思った。
現実と夢が混在してる。
この夢が現実でない証拠は。裏付けは。エビデンスは。