犬は月をめざす

もっとブワァー!ときてボーンと!

『探偵はBARにいる』を観たんご。

私は大泉洋をよく知らない。 ドラマもほとんど見ないし、「水曜どうでしょう」もあんまり見たことがないので、役者である大泉洋も、役者でない大泉洋も、どちらもよく知らない。

ふわふわの天然パーマに、万年寝不足のような目つきと、気だるそうな顔のつくりとは裏腹に、「やるときはやる」役どころが多いように思う。 前回みた『アフタースクール』の神野も、今回みた『探偵はBARにいる』の"俺"も、どこか抜けていて、感情にながされ、でも、やるときはしっかりキメてくれるし、何よりどうして、とても優しい。 私が見てきた、数少ない役者としての大泉洋は、そういう役どころが多いのだ。

というわけで『探偵はBARにいる』を観ました。 センスが冴えまくってる映画でした。特に会話のセンスが好き。

「泥酔の翌朝に於けるしらじらしい悔恨は、病んで舌をたれた犬のやうで、魂の最も痛々しいところに噛みついてくる……」 「なにそれ」 「萩原朔太郎が、オレの生まれるずぅっ〜と前に、オレのため に書き残してくれた文章」

なにこれーーかっこうぃー! 萩原朔太郎をそらで言える探偵かっこうぃー! 作中、こういう洒落た言い回しがたくさん出てきます。 それが物語の流れとちょうど良いバランスを保っていてベリグッ!

松田龍平演じる、運転手の高田くんのすっとぼけてるようでザックリ切り捨ててるセリフも最高です。 「俺はラムだな」 「デブでブスだよ、いるんだよ声だけ可愛いの」 「マリーアントワネットかと思った」 などなど見事にバッサリいってます。ゆるくて辛辣。ゆるしん。いいねー! こんなセリフが言えたら命のピンチに陥ったときに数十秒の時間稼ぎができるかもしれないし、プレゼン中にパソコンが動かなくなったときに数十秒の時間稼ぎができるかもしれない。 ともだちは減りそうだけど! でも辛辣なだけじゃないんです、高田くん。ちょっぴり切ないこともポロっちゃうの。これもまたいいバランス。

はじめに大泉洋のことを結構持ち上げておいて最後アレなんですけど、シリアスな場面で大泉洋の顔のどアップがでると、ゴメン!ホンットゴメン!悪気はこれっぽっちも無いんだけど、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ面白いの!もうこれはゴメンとしか言えない!ごめん!顔のどアップ以外でおねがい!!

そういえば高嶋政伸がオカッパで出演していたのですが、高嶋政伸=短髪のイメージがこびりつき過ぎていて、誰だこの役者さん、誰だ!ってなりました。 私の人物判定能力は、髪型が変われば即アウト、即判定不能になるポンコツだと再確認しました。。 髪型って大事。。